上手な呼吸法とは

正しいブレスは歌に余裕を作り出してくれます。 皆さんのブレスが浅く続かないので、肝心なところで歌が途切れてしまうのが気になります。そこで、今月はブレスについて書いておきます。

1.吸気について

豊かな吸気法を身につけてください。 腹式呼吸のことは誰でも言うことですが、姿勢の問題と意識の問題とがあります。

腹式呼吸を知らない人は、寝ているときの呼吸が腹式呼吸ですから、寝ころがって呼吸してください。
腹筋を使って横隔膜を意識的にポンプのごとく動かして、鼻から瞬間に大量の空気を吸い込みます。
体重は踵ではなくつま先にあります。また、猫背の姿勢は禁物です。胸を張るように。そして、肩の力を抜いて。

空気は鼻や口から吸うと思っている人が100人中100人です。それは間違いではありませんが、しかし、意識の上では足の裏から、つまり大地からエネルギーを吸い上げてください。
そうすると、吸い込んだ息は背中に溜まります。

後半の「どこから息を吸うか」は、偉大なジャズ歌手Joe Williamsが生前、沢田靖司に教えた極意です。「俺、Joeからすげえ事習ったよ」と言っていました。人には話したがらないことです。

「どうせわからねえもんナ」

本当です。誰も分からないでしょう。私は足の裏からブレスが出来ます。

基本は1フレーズ、1ブレスですが、スローな歌は2小節、アップテンポの歌は4小節単位と考えてください。

2.排気について

なぜ、息が続かないのか? 吸気が浅いからだけではありません。もう一つの原因は、声の出し方がまずいのです。
フレーズの唄い出しで息を殆ど使い果たしているのです。大事なのは息が長続きする発声の仕方です。



を殆どの人は「アー」と伸ばすのだと思っています。これだと、滑ってしまい2小節も続きません。同時に、コントロールの効かない、いやなビブラートがかかります。

これを次の譜面のように「アアアアアア・・・・」と歌って御覧なさい。「ア、ア、ア、」ではないことに注意してください。アクセントは頭だけにあります。

障子や襖を「スーッ」と等速度で滑らかに開ける気持ちで、

のように発声してください。この教え方は「5オクターブ歌唱法」の加納伸也の解釈によるわかりやすい教授法です。

上の歌い方はスキーで言うなら直滑降です。コントロールのない滑りです。下の歌い方は、エッジを使った横滑りでスピードのコントロールは自由に出来ます。

何が違うか?グラフを見てください。

多くの人が間違った発声をして、あっという間に息が絶え絶えになるのは、こういうことなのです。

水泳では最も大事なのは息継ぎで、瞬間に十分に空気が吸い込める人は1000メートル泳いでも平気です。大抵の人は呼吸が浅いので50メートルも泳ぐと苦しくて続きません。人間はくたびれて泳げなくなるのではなく、息苦しく(酸欠状態)なって泳げなくなります。

歌でもまったく同じです。特に仕事で唄っている皆さん。もし、あなたが1000メートル泳げないのなら、水泳教室に行って息継ぎの仕方を習ってくると自分でも驚く変化が起こります。

子供が小学生のとき、息継ぎだけマスターしたら1000メートル泳いでしまいました。いい水泳教師は「正しい息継ぎ」を教えてくれます

わかG

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